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-2018.1.25-
住宅金融公庫住宅 (築40年以上)の耐震診断 公庫ならではと思ったこと
一昨日、亀岡市で地震がありました。
震度は1程度、大きな被害はありませんでした。
1と言えども結構揺れたので遅れて来る大きな地震波に備えて、安全な場所まで移動したのですが来ることなくほっとしました。
(震源が亀岡だったようで、震源と近いほどP波、S波の時間差は無くなる為、なるほどと思った次第です)
こんにちは、京都の設計事務所FORMA(フォルマ)建築研究室
住宅アーキテクトの中西義照です。
京都府の耐震診断士でもあり、個人の財産や命を守るのはもちろん社会にとっても大事ととらえて家の耐震化についても日々取り組んでいます。
今回は築40年以上、外壁の大きなヒビ割れが気になるとの事で耐震診断を依頼をされました。「亀岡市木造住宅耐震診断士派遣事業」
FORMAの過去コラム:□耐震診断と補助金亀岡市ホームページ:□木造住宅耐震改修事業
当時、住宅金融公庫(※現在の住宅金融支援機構フラット35の事です)で住宅資金を借り、公庫の仕様に基づき建てられたお家です。
公庫付住宅の性能はどのようなものでしたでしょうか?
先ずは、図面の整備がされている事が大きな利点です。
調査においてもリフォームするにしても基礎資料となるため事前、現場で類推する上で非常に有利となります。(建物の見られない内部の仕様までしっかりわかります。)
今回はしっかり軸組計算もされておりバランスの良い配置となっていました。(※リフォーム前までは)
図面以外の仕様書がある。
当時の公庫の仕様書(※仕様書とは各工事の内容について使用材料や工法等が決められている)に基づいて施工されていると思われる。(※検査が有ったのである程度?は担保されている)
公庫住宅の設計をするという事は設計者にも公庫水準の建物を設計するというレベルを要求していたのです。(もちろん施工者にも)
この時代の住宅設計は建築基準法の範疇であれば仕様や工法等は工務店や設計者次第というところが有ったので構造や耐震、劣化対策、断熱についても非常にばらつきのある建物が多い印象を受けます。
公庫住宅の仕様というのは担保価値を維持する為に設けられた基準です。
建築基準法に定められていない部分の性能の補完や要求レベルが高い建物となるよう仕様書で決められているのです。
そう考えると、改修を前提とした中古住宅の購入を考える方にとって、公庫住宅は公庫の要求性能を持っているという意味では価値となるのかも知れませんね。
耐震診断の結果としては、この時代の今まで診断してきたどの建物より危険度の低い結果となりました。(但し耐震補強は必要なレベルで倒壊する可能性が無いとは言えません)
ですが、耐震改修工事をするにしても、改修箇所が少なくて済み、工事費も少なくて済みそうです。
公庫住宅は個別には使用材料や工法も異なるため一概には言えませんが公庫の要求レベル 、イコールかそれ以上を備えている可能性が高いと思います。
耐震診断について思う事。
いつ来るかわからない地震についての備えは先送りにしがちですが、起こってからでは遅いという現実もあります。
住宅の耐震改修、耐震リノベーション、耐震リフォームの設計をするものとして思う事として。
1981年以前の家は必ず耐震診断して家の強さを知り、耐震上不安点があれば備えを行う。
1981年~2000年までの住宅についても基礎や接合部の強さなどが規定される迄の過渡期だったため、接合の状況や性能を知っておくことが必要だと考えます。
亀岡市のデータでは耐震化率が78%(戸建住宅のみ)ということですが 耐震性が無いとされる住宅が7300戸ほどあるという推計もあるようです。
この数字、0に近づけたいですよね。
家は壊れても直せますが、命を無くさない為にも、耐震性確保の必要性についてブログでは伝えていきたいと思います。
居心地の良さや快適さの前に安全でなければ安心して過ごせないので。
京都の設計事務所FORMA(フォルマ)建築研究室、 住宅アーキテクト 中西義照のブログを読んでいただきありがとうございました!