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-2017.9.14-
パッシブデザインの考え方1
建築家奥村昭雄氏は、建築物を環境との応答という関係から考えました。
「クライマティックデザイン-建物は外界と応答している―」
パッシブデザインのパッシブという概念は建築的な部分だけではなく、人間の思想の構成の仕方や考え方等非常に広い概念だけれども、その中の建築技術的な部分だけを考えると、クライマティックデザイン、気象学的設計とかなりの部分は同じだと言っています。
捉え方としては、自然の一部としての人間のあり方とパッシブデザインの考え方は親和性があるとも言えますね。
パッシブデザインを考え方です。
建築の内部空間は外部空間と必ず関係しています。
建物に外から外界の熱が入るのを 「集熱」 と言います。
窓やそよ風、びおソーラーからの暖められた空気を取り入れる事も同じです。
「断熱」 は壁、屋根、床等から熱が逃げるのを遮る事。
「気密」 は空気が熱を運んで出ていくのを遮る事。
かつての設備設計では断熱、気密の事だけを考えていたのです。断熱と気密どちらか一つしか考えていなかったと言ってもいいほどで集熱についてはむしろおまけ的に考えていた、それが少し経つと集熱についても考えるようになる。ところがパッシブデザインでは更に 「蓄熱」 についても考える。
建物を構成しているのは中の空気も含めて、どこかに必ず熱をためるようになっていて、
集熱、断熱・気密、蓄熱 この三つが必ず起こっていると考えます。
入ってきたものが貯まって、その貯金が増えたり減ったりを繰り返している。
三つの間にには必ずやり取りがあってバランスの結果として室温が決まるという考え方が基本になっています。
これらの要素を気象学的な設計で検証し、建築的な技術を使って、自然室温で暮らせる家になる様にバランスをコントロールしようというのがパッシブデザインの考え方と云えます。
自然の一部としての人間の暮らしについて、家が建つ地域の気候や物理の原理を理解し利用する事で最小限のエネルギーを使って、最大に快適な暮らしが出来るよう設計する事に大きな魅力を感じます。
つづく