category
-2012.2.23-
中古住宅をリフォームする場合の取組(その4:すまいの診断レポート)
■「すまいの診断レポート」の作成とご説明
「すまいの診断レポート」は、住まいの診断結果と治療(リフォーム工事)の方針を住まい手に説明するための資料です。診断レポートの作成期間は最低1ヵ月。作成後にすまい手に提出して報告します。
報告の際は調査結果を分析し、考察した内容を丁寧にすまい手に説明します。説明時間は1時間30分程度。
長いと思われるこの説明時間も、すまい手は熱心に集中して聞いて下さいます。
説明の内容には専門用語がたくさん含まれるものの、なるべくわかりやすく丁寧な説明を心がけておりますので、ほとんどの内容をご理解いただけるようです。
この診断レポートを説明することによって、家の現状の診断を行い、そのうえで、家の治療に対する方針を組み立てていく事になります。
また、治療、すなわちリフォーム工事にどの程度の費用がかかるのか、概算金額を説明することが出来ます。
ここまでの調査により建物の病気の状況がわかれば、予算に応じて、どこから治していくかを話し合う事もできるのです。
この時点で現在の建物の状態把握が出来、リフォームに際してどのような計画が可能かポテンシャルの把握ができ、リフォーム案を考える際の基礎資料となります。
コストに合わせて優先順位を決め設計に落とし込めるので非常にスムーズに進めることが出来ます。
以前に調査した物件では、一つの建物と見えていたものが、診断の結果、実は数度にわたり増築されていたことが分かりました。
これにより、耐震補強時に事前に予測して対応する事が可能となりました。
「すまいの診断レポート」の特筆すべき大きなメリットとしては、性能が数値化されているので改修前と改修後の性能が目に見えるという点が有ります。
断熱については体感出来るほどですし、ランニングコストについてもリフォームすることにより光熱費が減るのが目に見えてわかります。
今までに中古住宅のリフォームの相談をお受けしたクライアントの皆さんは、最初は建物の状態に不安を持って相談に来られていたのですが、レポートを説明した時点で非常に晴れやかな顔をされ「家が健康を取り
戻せる事が出来る予感がします」とおっしゃてくださいます。
部分的なリフォームをしても相対的な性能アップは難しいですし、リフォーム以外の部分は分からない状態のまま放置されることになります。
もし、深刻な状況になっていたとしたら部分的なリフォームも意味が有りません。
「建物すべての状態を把握したうえで、どういうリフォームをするか」という作戦を立てるのがベストだと考えています。
→ 中古住宅をリフォームする場合の取組(その4:すまいの診断レポート)
→ 中古住宅をリフォームする場合の取組(その3:詳細調査)
→ 中古住宅をリフォームする場合の取組(その2:事前調査)
→ 中古住宅をリフォームする場合の取組(その1:はじめに)
—
■「すまいの診断レポート」の詳細
<1.住まいの概要、建物の概要を記述>
建物のこと設備のこと、災害に遭ったかなど、履歴を記述しています。さらに光熱費の記録から現在の省エネ状況について「環境家計簿」を使って診断します。
<2.住まいの詳細調査と診断結果>
リフォームに関する診断結果は、以下の項目で構成されています。
・「劣化診断」 : 敷地の外周部から室内、床下、小屋裏、まで写真撮影、図面で位置を示しています。
・「構造診断」 : 耐力壁の量、バランスチェック、接合部の様子、基礎の状態、地盤の診断、柱・床の傾斜測定と診断、さらに常時微動測定結果を記述しています。
・「維持管理診断」 : 維持管理の基礎知識と調査結果の記述しています。
・「室内環境診断」 : すまいのある地域の気候特性を述べ、採光状況、通風状況、断熱、気密、遮熱状況、結露状況を記述。そのうえで断熱性能を診断し現状の室温と性能を上げた場合の室温の変化予測をしています。
・「バリアフリー(すまい易さ診断)」 : すまい易さの目安としての動線、床の段差や通路幅、トイレや浴室の広さなどから高齢者に対する住まいやすさを診断しています。
・「防耐火診断」 : 防耐火についての基礎知識と調査結果を記述し診断しています。
・「その他」 : 防犯に関する基礎知識と調査結果を記述し診断しています。
・「診断結果概要」 : まとめ
<3.資料編>
診断結果の他に、以下の資料も作成します。
・「建物現況図」 : 目次に掲げたすべての図面を描き起こしています。
・「建物現況写真」 : 全体から細部まで整理して掲載しています。
・「報告書、計算書」 : 常時微動測定データ、地盤データ報告書、熱損失係数計算書、夏季日射取得係数計算書、自然換気量計算書、定常状態結露計算書、等