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建築家のブログ

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-2011.6.10-

木造耐震診断や耐震補強設計は誰が行うか?

「耐震診断士とは」
耐震診断士という国家資格はありません。
都道府県で建築士を木造住宅の耐震診断士(以下耐震診断士)として登録しています。
(民間のNPO、組合等の団体が独自に耐震○○○資格者を定めている場合もあります)

京都府の登録の要件は建築士(一級、2級、木造)で、専業の設計事務所・建設会社、工務店内にある設計事務所が大半です。
国や行政の助成金・補助金を使う場合は、各都道府県に登録されている耐震診断士が耐震診断業務を行う事が前提となっています。

助成金や補助の存在を知らずにリフォームを進めて後から知って使えないというのはよく聞く話です。耐震診断士に求められるのは・・・

「耐震診断士の実情」
登録している耐震診断士の業務におけるレベルは正直バラつきがあると言わざるを得ません。
耐震診断、補強設計で必要な実務経験やスキルが登録時には問われません。
又、試験も無いため、とりあえず登録しているという建築士も多いためです。
リフォームや耐震診断について日々研鑽して実績を重ねられている診断士はごく限られているのではないかと思います。
(技術アップのための取り組みが少ないため仕方ないかもしれません)

「耐震診断」
耐震診断の一般診断は診断者の主観の入る余地が若干有ります。
しかし、精密診断では誰が行っても同じような結果が出ると言われています。
診断のみが目的の場合は誰に頼んでも良いのかもしれませんが、耐震補強を視野に入れている場合はそれでは不安です。

過去に他の耐震診断士の結果をFORMAで検証したところ数か所の間違いがありました。以来他社の診断を元に補強設計をする事に不安を感じたのでその都度、耐震診断をこちらで行う事にしています。

最近では耐震補強を機に建物の寿命を延ばすための様々な要望を複合的に計画する場合が増えてきつつあります。
ということは、耐震だけの知識だけでなく総合的な知識やノウハウが必要になるということです。

「耐震診断士に求められること」
「デザイン・アイディア発想力」「コスト調整能力」「現場での対応力」それらをトータルで兼ね備え、責任ある立場で耐震補強設計を提案する事が大事です。
予算調整においては、どの工事を行うかについてクライアントとコミュニケーションの中で進めていくプロセスが重要です。
又、計画内容を比較検討する場合、クライアントの目線で「透明性」「客観性」の中で判断していくという事が求められます。

頼む側としては当たり前の事ですが、経験豊富で実績が有り、信頼のおける技術があり、クライアントとのコミュニケーション力があるというのが、耐震診断士を選ぶ際に大変重要だということです。