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-2011.5.30-
木造住宅の耐震診断の必要性について
今回は、木造住宅の耐震診断の事について書いてみたいと思います。
概要、内容はHPの耐震診断のページをご参考に
耐震診断の基準となっている法律が「建築物の耐震改修の促進に関する法律」
実際には法3条の「特定建築物の耐震診断、耐震改修に関する指針」に準ずる方法として「木造住宅の耐震診断と補強方法」(建築防災協会発行)が認定されていて地震に対する要求性能は次のような設定がされています。
現在の建築基準法(法で決まっている最低基準)では
中地震動 <震度5強>(80~100ガル) では損傷しないこと。
大地震動 <震度6強~7>(300~400ガル) では倒壊、崩壊しないこと。
この性能が基準となっています。
(FORMAではこの基準は最低基準との認識で基準以上の性能を目標(クライアントに説明もしています)にして設計を行っています。)
ガルとは、地震の揺れの強さを表すのに用いる加速度の単位です。(1ガルは毎秒1cmの割合で速度が増す事(加速度))
マグニチュードや震度は基準法では規定されておらず ガルが規定されています。
耐震に関係する法律の変遷を見ると
1950年・・・・建築基準法制定:壁量が規定される
1959年・・・・建築基準法改正:壁量が強化される
1971年・・・・建築基準法改正:基礎の布基礎が明文化
1981年・・・・建築基準法施行令改正:壁量の再強化(1959年時より増)→[新耐震設計基準]
1985年・・・・木造住宅耐震基準制定:木造住宅の耐震診断と補強方法 増補版
2000年・・・・建築基準法改正:告示=軸組設置基準(4分割法・偏心率)、継手・仕口金物、地盤調査必要
2004年・・・・木造住宅耐震基準改定:木造住宅の耐震診断と補強方法 2004年改訂版
(阪神淡路大震災、2000年建築基準法、2001年品確法に対応するカタチで発行)
1981年以前の木造住宅の大半は危険<不適格建築物>と言えます。(阪神淡路大震災で倒壊したのはこの年代の建物が多いとされています)
新耐震基準(1981年~2000年)の建物でも、2000年に規定された金物がついていない場合がほとんどです。
金物や有効な接合方法がされていないと引き抜きに対する抵抗がないため地震の上下動の場合基礎からずれて倒壊というリスクが存在します。
まずは建物の性能を知るという意味で耐震診断を受けた方が良いです。
FORMAの診断による事例では
1981年以前の住宅 → 倒壊する可能性が高い
新耐震基準<1981~2000年>の住宅 → 倒壊する可能性がある
現在の基準法<2000年以降>の住宅 → 一応倒壊しない
というのが平均的な結果です。(個別に差異があるので一般的な指標にはなりません)
建築物は個人の資産でもありますが売却や購入の前提がある中で考えると将来についての安全性を見据えなければなりませんし隣接者に被害を及ぼすような事があってはならないと考えます。
耐震診断は住人の命を守るための指標(補強の必要性の判断)、中古住宅を購入する場合、またその建物をリフォームする際、売却時の安全性の表示にも必要なものなのです。
次回は耐震診断、補強設計は誰が行うか?を書きます。