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-2013.5.22-
アルミサッシについて
これまで住宅の断熱性能をを計算していて思うのは窓から逃げる熱が非常に多い事。
熱伝導率が非常に高く(木の1000倍伝えやすい)、結露しやすいのにアルミという素材を使っているのがどうも理解できません。
素材の性質が求める性能に合っていないと思うのです。
アルミサッシメーカーの商品構成でも断熱の性能のレベルが数段階に分けられています。
1.アルミ(アングルのみ樹脂)
2.枠のアルミとアルミの間に樹脂の緩衝材をサンドイッチし、障子はアルミのサッシ
3.枠と障子のアルミとアルミの間に樹脂の緩衝材をサンドイッチしたもの
4.外側がアルミ、内側が樹脂のサッシ
5.樹脂を多用したもの
という具合です。(何が何でもアルミを使うというスタンス何せアルミサッシメーカーなのだから仕方が無い)
(YKKAP商品参照) 日本のアルミサッシの普及率89.8% 樹脂:7.7% 木製:2.5%(樹脂サッシ普及促進委員会調べ)
一方ドイツではアルミ:21.2% 樹脂:55.1%木製:23.7%寒い北欧では木製サッシが95%と聞いたことが有ります。
窓の基本性能は、耐風圧、水密性、気密性。
居住の快適性は、断熱性、遮音性、防露性、遮熱性。
安全、安心に関係する性能は、防火性、バリアフリー性、防犯性 (日本サッシ協会) としています。
全てにおいてアルミが優位かというとそうでもなく、 基本性能はどんな素材でもディテールの工夫で解消できそうです。
居住の快適性の部分はアルミよりも樹脂が樹脂よりも木の方が適材と思います。
安全、安心に関係する性能のなかの防火性は金属の方が強そうなイメージも有りますが、最近では木の耐火建築やもえしろ設計が有り、木の表面が炭化し急激に燃えない事を利用し設計に取り入れる手法などが有ります。
木のほうが求める性能に合致しているのではないかと思います。
木製サッシは経年変化、劣化が伴うと反りやひずみが出る事により維持管理(メンテナンス)が必要です。
枠等一定の強度を持たすと部材寸法が大きくなりがち。(アルミはシャープなイメージに納めることが出来ます)
比例して重くなります。
日本でのアルミサッシ普及の理由はコスト、クレームの少なさではないかと考えます。(所謂、大企業側の都合)
もう一つ 防火地域規制による窓の防火性能が有ります。
建築基準法告示、認定制度が壁になっている気がします。
木製サッシの耐候性を高めるために外部の表面のみアルミの面材を使用し内部は木製というサッシ、又は木部の枠をガラスが全て覆うようなサッシだと反りやひずみを小さく抑えられるのではないかと考えます。
車業界ではハイブリッドや電気自動車がシェアーを拡大しつつある中で、自動車メーカー以外の電気メーカーの参入が考えられます。
アルミサッシ業界もアルミ依存ではなく、窓をつくる会社として窓本来の性能を探求していただいて性能に見合った素材を使い、サスティナブルな商品を開発してもらえると良いのですが。
窓を考える時には上記指標以外にも通風、採光、日射取得、眺め、景色、部屋の中の位置、開き方 等々 窓一つとっても多くの事を考えながら吟味しながら決めていきます。