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-2019.3.16-
大工不足が深刻 これからの建設方式を考える
昨年の台風や地震の影響はまだ残っていて 屋根や外壁を直すべく順番を待っている方も多いようです。
材料も不足、職人さんが不足していている状況と工事関係者からは耳にします。
こんにちは京都の設計事務所FORMA建築研究室
「建築を通して円満を伝える合気道建築家」中西義照(てる)です。
建設工事における職人不足問題は将来の建築方式に大きなインパクトになるのは間違いありません。
一年程前の統計等によると新築住宅の着工件数は10年比-27%の約60万戸に減少する見通し。
大工の数は現在の担い手60代の熟練工のリタイアで30年には10年比-50%の約21万と半減。(1980年には94万人いたのに・・・)
これは2030年の大工一人当たり新築着工数は10年比で1.4倍になる見通し。(1.4倍の作業効率向上がないと対応が出来ない!)
新築工事以外のリフォーム市場が増える予測もある事から10年後の熟練大工さん不足は決定的。
そして技術の継承についても気になるところ。
近い将来の10年後の為に設計者としてできる事はないのかと考えました。
最初に頭に浮かんだのは、生産性の向上、人材育成 でした。
生産性の向上
・施工部位毎の合理化による工期短縮 (塾練工でなくては出来ない部分を少なくする)
・建設機械(ロボット)による省力化
・プレカット、パネルカットによる省力化
・接合部分(仕口、継手)を金物接合にする
色々思い浮かびますが設計者として役に立つ部分は 施工部位毎の合理化に関する事ならアイデアが有ります!
人材育成
・引退した大工さんの技術を継承するような育成プログラムを作る
・外国人労働者の技術育成プログラム
こちらの分野ではソフト的な部分の発想等のアイデア提供なら出来そうです。^^
生産性の向上に関して具体的にというと・・・
普段仕事で使用しているARCHICAD(BIM ビルディングインフォメーションモデル) プログラムの中で実際のモデルをつくるソフトです。
各部材の構成、寸法、属性などを細かく規定することが可能なので構造躯体においてはプレカットと連携が出来るようになれば二度手間が解消。下地材等も寸法があらかじめ分かるので工事業者さんとデータを共有することで発注や現場で考える事を少なくし作業に専念することが可能。
設置部材も工場やメーカーで必要寸法にカットし、現場で取り付ける(熟練工を必要としない)。
設計時のBIMデータを共有することで施工の省力化に大きく寄与することになると考えます。
将来の建築方式も変化していくことになります。
業界や職能単位で考える事はもちろん 職域を横断してダイナミックな取り組みも必要になってくると思います。
そのような取り組みの中から新たな潮流や発想が生まれたりするでしょう。 ワクワクしますね~
そんな近未来を考えながら今できる事に取り組んでいきます。^^