category
-2021.8.14-
施主は孤独 4
机に広げた図面を元に意見を出します。
既に工事会社は決められているので波風立たないように 基本裏方の役割。
フリーにアイデアを出すと収集がつかなくなるのでルールを設定。
・当初の型を踏襲しつつ具体化する。
・外格は変えない、面積も増やすのはNG 少なくするのはOK
・1F、2Fのゾーニングは変えない。
今の段階ではこのくらい。
早速、井元さんご夫妻とオンラインでヒアリングを行いました。
その際に出てきた言葉のかけらの意味を考えつつ
“余白“を今と未来の可能性をつなげるものとして捉え、軸にしました。
広い敷地と建築、建築の中のスペースに余白を設け、世代の異なる家族(個人)の関係性と居住に内包される仕事の在り方を考える方針としました。
合わせて具体的な与条件、不確定な将来に対する不安、それらを統合した現実的な暮らしの在り方の可能性を計画しました。
もちろんルールにのっとって。
先ずは敷地環境を把握し、隣地の植栽、建物を知り、人の動きをイメージします。
そして一年間の太陽の動きと周辺建物の日影を理解し建物の配置、駐車場の位置アプローチを明確にします。
その上で9つの提案をすることに。
・玄関動線の変更
・帰宅時の裏動線上にある収納
・トイレの横に手洗いを独立させる
・広いリビングに多世帯の同居人其々の居場所をつくる。
・個室は使用する時まではパブリックスペースとする。
・個室の使い方は子供の成長に合わせて融通性をもたす
・洗濯、物干し、収納の家事動線に回遊性
・WinCLの具体的収納方法
・未来への想定と可変性のあるスペース
機能的、余白、外部とのつながりを意識し計画を行いました。
そしてそれらをヴィジュアル化して住まい方提案と合わせて説明した結果。
ここから先は感想をお聴きください。
FORMA「今回の赤ペン先生の添削プランは既存プランと何が違うと感じられましたか?」
井元さん:「まずヒアリングの質がちがいます。」
FORMA「ありがとうございます。こちらは普通に聞いていただけなのですが (笑) 具体的に教えてください^^」
井元さん:「例えば、なるべく居場所が多い方がよいという施主側のオーダーについて、具体的な住まい方をイメージして頂けました。」
井元さん: 「そのイメージを限られた空間の中で、既存の部屋の役割、例えばLDKという固定された発想を超える、または逸脱する役割を具体的なスペースを導き出して、同時に、玄関、中間領域や日射などその他の課題と連動させて解決する設計力を感じました。」
FORMA:「あっ確かに。固定概念を疑い、井元さんご家族の一員になったつもりで異なる機能や居心地の良さにつながる場所を見つけている感じとスペースを使い切る事、単一用途の使われにくい場所をなくすということを同時に考えていたと思います^^」
井元さん: 「住まい方という、もっとも大事なイメージ(または具体的な予定)に立脚して、デザインと機能を同時的に成立させる力も感じました。」
FORMA:「夫婦で役割分担している部分が良い形で融合させるとことに注力していて非常にうまくいきましたね^^」
井元さん: 「人の動き(動線)、死角、家の中の物と外の自然の関係などもまた家の魅力を引き上げる重要な要素であることをはたと気づかせていただきました。」
FORMA:「そうなんです!!自然との関係も家の魅力を引き上げる重要な要素であると共に暮らしに楽しみや潤いをもたらせてくれるので積極的に自然を取り入れていきたいのです!! 理解していただいてめちゃうれしいです!!」
FORMA:「当初のモヤモヤが解決したという事と提案後のご夫婦のテンションが上がり家づくりのワクワク感を感じていただいた事が更に嬉しかったです^^」
この瞬間に、井元さんご家族は自分たちらしい家をつくる道に進んで行かれるな! と確信しました。
この提案をそのまま住宅会社に出すと赤ペン先生の存在が分かり気を悪くされてもダメなので、提案した計画図をエイコさんがトレペになぞり描き、週末の打ち合わせ時に相談するという事になりました。
赤ペン先生の役割が無事終わり、ほっとすると同時に家づくりの最初の相談をするところによって出来上がる形は大幅に変わると感じました。
今回は工事会社が決まっているという事なので無理のない実現性のある範囲という一定のルール内で考えた提案でしたがそれでも9つもの提案が発想されました。
工事の合理化はいいけれど、お施主さんの想いを受け取る場は大切にしたいところです! (ここは要注意点)
そして翌日に井元さんからラインが来ました。
「FORMAさん設計でこの予算で家を建てられますか?」
てっきり週末の打ち合わせの事かと思いきやどういうこと???
つづく^^
つづく
「