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-2013.10.30-
引き渡し時の思い
先日、テイネンゴノイエの引き渡しが終わり引っ越しがはじまろうとしています。
今年初めから設計を開始して、7月から着工、外構工事まで4カ月で竣工引き渡しとなった訳ですが、取扱説明が終わりクライアント様に鍵をお渡しする時、なんともさびしい気持ちになります。
それは、喪失感のようでもありますが一言で言い表すことが出来ません。
その気持ちはなぜ、どこから来るのだろうという事を考えてみました・・・
一つのものを失ったというより、
完成することで創る過程が終わり、楽しみを失った。
もう自由に立ち入る事は出来ない。
この建築や空間を体験していたい。(工事期間中の季節、時間以外の体験をしたいという意味です)
出来れば住んでみたい。それも一年を通して。(迷惑な話ですね)
手放したくないという、これまた理不尽なクライアントの所有物であるのに自分の物のような勘違いの感情もあったりします。
構想計画段階から現実に建築物が現れ、設計時のイメージと実際の建築との自分の考えていた事を比べたい。
これからどう使われていくかを見届けたいという思い。
クライアント様が愛着を持ち続けて暮らしてくれるだろうか?という不安
設計者として、新しい家を創ったわけですが、創る過程では監理業務の中で、仕様通りに出来ているかを確認しながら、徐々にカタチを表す家にワクワクし、イメージと身体的な感覚と違いがないかを比較します。
思った通りに出来ていれば喜び、逆であればその差を埋めるように努力をします。(これは自分に課した作業で、契約書の業務項目には載っていません(笑)
そんな事を繰り返しながら家と対話し完成した家と私は、クライアントより一足先に、相思相愛(片思い?)の状態になっています。
願わくばクライアントが住み始めて、末永く愛着を持って住んで頂ける事を心配している片思いの友人といったところでしょうか。
こう考えると、なんとなく理解できます。
家の事は内科、外科もどちらもよく理解しているつもりです(設計者なので当たり前ですが)ので、なにかあった時は、お気軽にお声をかけて下さい。