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-2013.1.16-
建築見学 南方熊楠顕彰館と旧邸宅
和歌山県田辺市にある南方熊楠顕彰館と旧邸宅に立ち寄りました。
一昨年から田辺市には足を運んでいるのですが中々時間が取れず建築探訪が出来なかったのですがやっと時間が取れましたというか取りました!
田辺市に生まれた南方熊楠(1867~1941)はアメリカとロンドンに13年間滞在し、帰国後1904年から田辺市に居住。
粘菌類の研究をはじめ世界的博物学者として知られている。
顕彰館はその住居であった隣地に建てられ25,000点にのぼる蔵書や資料、文献を保存し、研究するための施設です。
建っている場所は旧市街地の一角、古いお屋敷街といった風情。
建物正面は低く抑えられた軒と漆喰壁、木の格子による構成と隣の住居の外壁杉横板貼りを亜鉛合金に置き換えたデザインとなっています。
内部は木と漆喰またはエマルションペイントの白の空間となっています。
吹き抜けたエントランスから受付に入り、ホール内へ奥は会議室やトイレが配置されホールの中ほどから直階段で2Fにアプローチする構成です。
ホールの丸い窓から収蔵庫が覗けるようになっており蔵書の一部を見ることが出来ます。
屋根の架構は登り梁が合掌に合わさるパターンでひらき止めのタイロッドと接合金物(ドリフトピン)が一体となり上手く納められています。
ガラス面の木格子も紀州産材による貫壁となっており視線や太陽光のコントロールはもちろん構造的にも働いているような気がします。
同敷地の南隣には熊楠の住居が保存されています。(耐震補強がされているようです)
門を入って建物正面は開口部が少なく2Fの軒は深く陰影が付き禁欲的なデザインとなっています。
顕彰館よりもこちらの建築が私の好みでした。
縁側におられた方のお話しを聞いていると熊楠の一族の方ということで当時の生活や当時に聞き伝えられているお話しを伺い非常に興味深く聞かせて頂きました。
展示も当時の暮らしの備品や道具が置かれて、タイムスリップしたような雰囲気でした。
当時の道具、柳行李の話になりました。
今で言う収納ケースですが、用途に応じて種類がたくさんあり、スーツケース的なものもあったとか?
今では作っているところも少ないようですがオープン収納に行李を並べて収納に使えるかもしれないと思いました。
敷地内の楠の大木。
この木を見て熊楠はこの場所に住む事にしたようです。