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-2018.10.30-
桂坂の寒いといわれる家の断熱性能を計算してみる
こんにちは、京都の設計事務所FORMA建築研究室
「建築を通して円満を伝える 合気道建築家」 中西義照(〇てる〇)です。
今回はFORMAの事務所がある桂坂開発当初に建てられたであろう家(架空)の断熱のシミュレーションをしてみたいと思います。
特に西桂坂は寒いと言われていいます。
寒い中で暮らす事の弊害は意外と知られていないのが現実です。
シミュレーションの前に実情把握してみましょう。
冬場の65歳以上の溺死死亡率が非常に高い日本。
その原因は部屋間の温度差による ヒートショックと言われています。
この温度差が体に与えるインパクトが大きいというデータがあります。
断熱性能と健康の改善効果の関係を調べたデータもあります。
実際、冬でも自然室温で快適に暮らせると家での行動も広がります。健康改善効果があるとなれば医療費なども大きく変わるのではと思います。
※Q値とは
家全体から床面積1㎡あたりに逃げ出す熱量のことを指します。
更に正確に言うと
室内外の温度差が1℃の時、
建物全体から1時間に床面積1㎡あたりに逃げ出す熱量のことです。
熱損失係数(Q値)は値が小さいほど断熱性能が高いことになります。
桂坂での解体時に当時の断熱材仕様を見ていたのでそれを基に断熱性能を使ってシミュレーションしてみました。(Enaergyzooを使っています)
UA値が1.13W/㎡K 基準値0.87W/㎡Kなので キリンが悲しそうな顔で不適合と言っています。
Q値も3.97W/㎡K (上のグラフにある新省エネ基準よりも断熱性能が悪いという値)です。
この住宅に、窓(アルミサッシ単板ガラス)の内側に樹脂サッシ(Low-Eペアガラス12A)を入れてみると
UA値が0.78W/㎡K 基準値0.87W/㎡Kなので キリンがシャン立って適合!と言っています。
Q値も2.91W/㎡K(改正省エネ基準に近くなります)
窓をすべてこのような仕様に変える事で大幅に改善されます。
工事も窓内側の枠内に樹脂サッシを取り付けるだけなので工事期間も短くて済みます。
ある室の温度変化も見てみましょう。
京都、冬の平均的な外気温と室温のグラフです。
室温の最低値は朝8時ころに10度を少し下回る結果です。
窓だけの改修で室温の最低値は朝8時ころに12-13度の間なので3-4度上昇することになります。
冬場のこの差はとても大きいと思います。
リフォームと合わせて工事する場合は外部に面する部分(壁、床下、天井)の断熱強化や気流止めを合わせて行う事でより断熱性能を高める事ができます。
家全体を断熱改修することがより良い結果となりますがそれがかなわない場合は生活空間を規定して(寝室、過ごす部屋、水回り等)ゾーンで室温を一定になるような改修方法も考えられます。
このようなシミュレーションを基に暮らしに応じた改修方法を検討したうえで設計することが可能となります。
まずは我が家の性能を知ることからはじめ、暮らしのスタイルを把握したうえで断熱性能を上げ、これからの健康な暮らしの出来る方法を一緒に考えてみることをお勧めします。^^
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最後まで読んでいただきありがとうございました。^^