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-2017.9.17-
パッシブデザインの考え方2
で説明した 集熱/断熱・気密/蓄熱という3つの要素が及ぼす室温の変化、つまり建物が外界と応答している様を見てみましょう。
先ず、集熱について、大部分が日射の恩恵です。
なので12時をピークとした山型のカーブで日の出前、日の入り後にはなくなってしまします。
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外気温はサインカーブを示し、ピークは集熱量のピークよりやや遅れます。少しの時間差があるのです。
特徴としては二時か三時がピークとなり最も低くなるのは明け方の五時、六時頃。
カーブ曲線は登りが急で下るのが緩やかという特徴があります。
しかし、振幅やリズムの周期性は日によって違います。ほぼ同じに保たれているけれど厳密には同じではありません。
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室温について、この建物の条件としては無断熱、南に大きな窓があり集熱量が大きい、蓄熱部分が少ないとした今までの一般的な在来工法、日本の家の場合。
室温は集熱量を追いかけるような曲線です。
集熱が増えると室温も上がり、少なくなると室温も下がる、そして変動幅が非常に大きい事が特徴です。
ですが、一般的にはこの変動幅を少なくしたい。
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そこで断熱、気密をした家の場合はどうなるか?
室温は全体的に上昇して、時間差が少しずれましたが変動幅は依然として大きいままです。
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窓からの日射を取り込み、蓄熱をさせるとどうなるか?
一日の変動幅が少なくなりました。室温のピークが②より低く抑えられている事と下がり巾が抑えられる理由としては蓄熱体に熱が貯まった分室温がピークが抑えられ、下がった時には蓄熱体から熱が放出され室温が下がりにくくなるというバランス関係になったという事です。
そしてもう一つのいいことが有ります。室温のピークがずれ出すという事。
補助暖房で暖を取る部分が少なくて済むという事にもなります。
(※蓄熱量を大きく取り過ぎたり、少なすぎたりすると逆効果になる場合もあるので注意が必要です。シミュレーションをして計画する事をお奨めします)
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ここまでは家が昼も夜も条件が変わらないとした場合です。
生活する中では、カーテンや雨戸を閉める等、窓からの熱の逃げを暮らしの工夫で性能を変える事も可能です。
それらをシミュレーションするとどうなるか?
室温変動幅がかなり縮小して、室温の下がり方がかなり抑えられる事がわかります。
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建物の性能に頼るだけでなく、応答性の方からものを考える。
外界気象との応答特性を調節する、あるいは時間的に切り替えるような工夫をする事で家の中の環境はかなり改善できるのではないかという事。(文:パッシブデザインとOMソーラー図:びおソ-ラーHP引用)
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テイネンゴノイエ#03のクライアントは建替える前から、夏場の暑い昼間は日射を遮り、冬場は日射を取り入れるという事を雨戸や簾を使って実践されておられました、自分たちの子供の頃も親たちはそのような住まい方をしていた記憶が有ります。
そのような工夫が出来る家の仕組みをデザインに取り込み設計する事もパッシブデザインの大きな要素の一つです。
先人が考え出した手法をベースに現在の技術を用いる事で時代に応じたパッシブデザインを進めて行きたいと考えています。
FORMAの設計する家は一つ一つが違っているので、その都度、温熱環境と蓄熱量の計算を行い、室温がどのような推移になるのかをシミュレーションで確かめます。
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そして、実際の光熱費等のデータを後に頂く事で使用エネルギーを類推し、設計にフィードバックし更に確度を高めていきたいと思います。
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