いつか合気道の道場を設計したい
建築家のブログ

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-2017.6.17-

地域適性化住宅研究会 第一回

出雲にて濃い二日間を過ごしてきました。

一日目の前半、故永田昌民氏 設計の建物。

永田氏の実作は長い間体感したいという思いが有り非常に楽しみにしており裏の主役でもありました。

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出雲の山際にある農家住宅で納屋、小屋、母屋と離れが分棟で建っていて、北には小さな山が迫る敷地。

敷地は南面道路より2M程の基壇がありスロープの両側には手入れの行き届いた植栽が配置されていました。

大きくカーブしたアプローチを曲がりきると正面にファサードが現われます。

 

最初、平面図を見ていて離れの和室の位置、居間を斜めにカットした外形、和室の位置等、色々と図面から受ける違和感がありました。

_しかし実際を見て見ると敷地の向きや庭と既存の建物の位置が決まっていた事を考えると

「なるほど! こういう事か」 と唸ってしまいました。

敷地や既存建物との関係性が絶妙の距離感で永田氏の感覚でまとめられていると感じ、図面を見ていた時の違和感は見事になくなりました。

以前、農家住宅を設計した事が有り、その地域ならではの暗黙の了解的な「家はこうしなくちゃならない」という価値観に苦労した事が有りましたが、永田氏が生きておられたらそのような事も聞いてみたかったです。

ただ、工事にあたられた方からお聞きすると永田さんは一つこうと思われたことは曲げない方だったとの事。

施主も依頼されてから3年待たれたとの事で家づくりにおいては絶大な信頼を寄せておられたのであろうと思います。作る過程のお話しなんかも聞けるとよかったですが当日は80余名という大所帯ボクのような手合いに一々対応してては大変ですよね。(笑)

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今回の見学ではサイトプランの大切さを再認識しました。

同時に、ボクの中の固定観念が大分固くなってきている事を自覚しました。(いけませんねぇ)

設計する場所との対話。

場所の発する言葉にもっと注意深く耳を傾け設計する事の大切さを気付く事になりました。

自然環境、敷地、人 それぞれの気をしっかり捉え、関係性を作る仕事がしたいと思います。

出雲 永田氏住宅

全体的な感想で終始しましたが、もちろんディテールや暮らしに添った様々な作られ方は書籍や情報の通りでしたよ。

見学は個人邸という事でプライバシーの事も有ります。

写真はイメージという事でご理解ください。

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今回多くの設計者や工務店の方と知り合う事が出来、非常に有意義な研究会となりました。

最後に事務局のスタッフの皆様ありがとうございました。