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-2017.1.31-
OBクライアントのお話しから気づいた事
先日、点検を兼ねてご訪問しました。
点検を終え、雑談の際、設計中の感想や住み心地等感じた事を聞かせてもらいました。
「これから家を建てるクライアントにも是非伝えたい」
という事だったので備忘録として残しておきたいと思います。
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設計が始まる前にスケッチブックにイメージになる家の絵と共に切り抜きがあり、家についてのコンセプトと暮らしに求める事をご夫婦で話されてまとめておられました。
しかし、予算が限られていた為、予算のかかる事は無理とあきらめておられたご夫婦でした。
ご夫婦間でも好みの違いから少しの遠慮があり、どちらかの意見を尊重すると自分の意見を出すまでもなく心の隅にしまったままという事が有ったようです。(設計者とクライアントの関係の中でも遠慮のようなものがあったかもしれません)
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設計が進んで、色々な場面で選択が迫られて選んでいくうちに
「本当にこれでいいのか?」
というもやもやとした気持ちが膨らんできたことをきっかけに心の片隅に追いやられていた意見を言葉に出されました。
言葉に出してみる事で、自分のこだわっていた事の理由がはっきりするという体験をされました。
そして理由がわかれば「そのもの」でこだわりを実現するのではなく違う部分でこだわりが実現することが出来たというお話しをお聞きしました。
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これは無理だからと自己完結して言わないのではなく、言葉にする事で自分のこだわりの正体の一部が明確になるという事を気付かせて頂きました。
これは完成後の気持ちの感じ方が大きく異なると思います。
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打ち合わせ時には常々言っている事ですが、
「無理だと思わず希望や思いは伝えて下さい」
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思いが明確になっていない場合も有るので言葉にする努力をしてみる事が過程の一つになるかもしれません。
そんなやりとりの中から、色々な言葉やイメージが出来上がり共有できるようになります。
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そして、もう一つクライアントご夫婦は設計に際して、二人でとことん家について話をしたという事が非常によかったとおっしゃっていました。
キッチンの使勝手や仕様機器、照明、壁の仕上げ等々こだわった部分はとことんあきらめずに話し合い決めて行ったとの事。
工事中もFORMAで伝えた手摺の桟の寸法も仕事帰りにヒモで手摺を作り二人で相談してサイズの確認をしたり、そんなご夫婦なので工事中にこちらで確認した事の多くはおそらくこうして確認されていたのだろうなと推察しました。
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ですので出来上がりはほぼ思っていた通りの出来で、そうして決めて行った部分を見るたびに、当時の事を思い出されて。
ニヤッ (^^)となるそうです。
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設計中も工事中も深く関わるほど家に対する愛着が深まると思います。
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たくさんの家を見る中で、愛着を感じて暮らしておられる家は、人の気持ちを豊かにしてくれると感じます。
愛着を感じられる設計やデザインを目指しているのはもちろんですが、クライアントも家を作る場に立ち会って頂き、是非同じ思いを共有しながら関わり、見守ってもらえると愛着のある家に近づけるように思います。
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設計者としてそのような場を作る事も大切だと思っています。