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-2018.8.20-
伝わるレクチャーを受けると見るだけよりグンと楽しくなる。『ロームシアター京都 建築ツアー』
京都の住宅設計事務所FORMA(フォルマ)建築研究室の所員、住まい方アドバイザーの中西千恵です。 『ロームシアター京都』は、京都の岡崎(平安神宮のとなり)にあるコンサートホールです。 もともとは『京都会館』といい、設計者は前川國男(※)。 (※)ル・コルビュジェ、アントニン・レーモンドの元で学び、モダニズム建築の旗手として、第二次世界大戦後の日本建築界をリードした。(ウィキペディア) 前川國男という、スゴイ建築家の設計による、戦後モダニズム建築の傑作と評価された建物で、それを保存改修し2016年に劇場再整備したのが『ロームシアター京都』というわけです。 今回は、劇場再整備を手掛けた事務所の下川太一さんによる、レクチャー付き。 お寺の三門をイメージしたピロティですが、帰りに雨がパラついていたときに、この辺りを散策する人の雨宿りの場所にもなっていました。 三門にもそんな役割があったのかもしれないと昔を想像したのも、三門をイメージしたとレクチャーを受けたからこそ。 これがメインホール。 初めて入るこのホール、オオッーとなります。 客席が4階まであって高い! そして舞台に立つと、客席が近いことがよく分かります。(客席に座る方が寝てたり退屈だったりする様子も分かるってことですね。) 収容人数2000人、音響は世界の小澤さんに褒めてもらったとおっしゃっていたので、素晴らしいのだと思います。 メインホールは以前と広さを変えず、収容人数を変えず、舞台を広くする必要がありました。 ということは、客席を上に積んでいくしかなく、おかげで、客席と舞台との距離が近くなったということらしいです。 客席やホールの細かな色づかいは京都らしさを感じさせる色になっていて、とてもきれいでした。 3階席から観るとこの高さ、まだもう一つ上の4階席があります。 高っー! 天井は低いですが、客席一列ごとに高くなっているので舞台は観やすそう。 以前は前の人で観えにくかったそうです。 きれいですねー。 南禅寺の三門や、天龍寺の書院、唐草の模様、京都という地域性を意識したデザインが多々あります。 建築物としての価値を受け継ぎつつ、今後何十年と使い続けていけるコンサートホールであるように、劇場再整備をどう考えたかというレクチャーが興味深くて面白かったです。 床の煉瓦タイルの新旧が分かる場所。 以前のものは角が円くなっています(上)。 床だけでなく、新旧が素人にもわかるポイントがいくつかあって、上の壁が、前川國男の煉瓦タイル壁と説明書きもあった「壁打ち込みタイル」。 これは再現できなかったそうで、下が新しくできた壁。 壁打ち込みタイルは力強さを感じます。 今回の建築ツアー、何が面白かったかといえば、 ・下川さんの分かりやすく伝わるレクチャー ・再整備を考えた人の視点で建築物を見る楽しさ ・前川國男というスゴイ建築家が60年ほど前に何を考えていたかを知り想像する楽しさ ・音楽や演劇を観に行く目的の建築物(ロームシアター京都)を知ることで愛着がわきそうな感じがしていること 一般の(プロではない)方もたくさん参加されていました。 こうした気軽に参加できる建築ツアーで建築物に興味をもってもらえば、劇場へ足を運ぶ機会が増えたり、人を誘ったり、たくさんの人に愛される建物になっていくような気がします。 ぜひ来年も開催してほしい建築ツアーです。 建築の勉強をしている学生さん、建築に興味のある方、ロームシアター京都へ音楽や演劇などを目的で行く方、京都が誇る建築物を知りたい方、参加したい方はたくさんいらっしゃると思います。 ロームシアター京都さん、どうぞ来年もよろしくお願いいたします(笑) 京都の住宅設計事務所「FORMA(フォルマ)建築研究室」の住まい方アドバイザー中西千恵でした。 誰それ?どんな人?と興味をもってくださった方はこちらのブログをご覧くださいね♪ ↓↓↓↓↓ 住まい方アドバイザー 中西千恵のプロフィール