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-2024.6.20-
兄の家と弟の家 New Works!
worksのページで、新しく2軒の住まいをご覧いただけるようになりました。
こちらの2軒は、「コモンズのある暮らし」で紹介させていただいている、兄と弟、それぞれのご家族の住まいです。
兄の家
「周りの人が生き生きと幸せそうにしていることを眺められる喜び」
ご自分たちが強い意志をもつというより、人との出会いや繋がりを大切にされているご夫婦の住まいです。
お話しを聴くことが特に大切なお仕事のご主人と、隣り合って暮らすカタチに価値を感じ賛同された奥様。お子さんとの3人家族ですが、ご両親、妹弟家族、友人、人の集まる場としての機能をあわせもつ家になりました。
住まいは新しい分譲住宅地です。移り住んだご近所の方たちとの集会も兄の家で行われたそうで、当初予想もしていなかった人たちとの集まりの場にもなっています。
周りの人が生き生きと幸せそうにしていることを眺められることに喜びを感じ、人との出会いを大切にされているというのは、ご夫婦それぞれにお話をお聞きした時に、お二人共が同じことをお話しくださいました。
予想もしていなかった場としての使われ方は、こうしたお二人のやわらかな雰囲気や人とのつながり方からくるもののように思います。
どんなことを大切にされているか、どんなことを大切にしたいかは人それぞれですが、大切なことを大切にできていることは、よりその方向への可能性が広がっていくのではないでしょうか。
弟の家
家が完成してしばらく経ってからいただいたお手紙に、住まいをどのように捉えられて家づくりを進められたのかが綴られています。
久しぶりに長文メールを送ってもいいですか。感想文みたいなものです。幾度となく寝落ちしてBackSpaceキーで1段落くらい消し去られるという苦難に合いながら書いていたら数日かかってしまいました。そして、千恵さんのブログに先を越されてしまいました。ニヤニヤしながら読ませていただきました。中西さんご夫妻ととも作りあげた住まいがこのような形で記事になると、ちょっと恥ずかしいながらとても嬉しく誇らしく思います。
元々我々二人の中にやりたいこと、叶えたいこと、思い描く住まいの内部や外部の景色や家族の姿といった情景、というものが希望や夢という形でいろいろあって、そこに私のこだわりというのがこれまたいろいろあってという中で、それらはまとまりのない支離滅裂なたくさんのバラバラなピースであり、それらが本当にまとまって一つの住まいという形を成すのだろうか、それってどんな住まいなのだろうかと完成系は全く想像できない状態でした。そしてそれを叶えるには建築家さんにお願いするより他無いということだけは以前から確信していました。
そこに加え兄一家と隣地で家を建てるという壮大な計画、希望があり、そのための課題、条件がたくさんあって、これらを実現するためにも二つの家をまとめて建築家さんにお願いするのがベストという判断に至りました。元々建築家さんにお願いするという発想が全くなかった兄に、建築家さんにお願いするということはこういうことなんだと熱弁、説得したことが昨日のようです。そして今家が建ってから兄が中西さんにお願いして本当に良かったと言ってくれることを聞くにつけ「でしょ」と思う部分と「あーよかった」と思う自分がいます。
建築家さんを探そうにも何のコネクションも持たない私達にとって、どうやって理想の建築家さんを探せばいいのかさっぱりな状況ではあったのですが、インターネットを中心に色々調べに調べる中で、中西さんを見つけ出せたことは一番の奇跡でした。ホームページそのものの雰囲気、掲載されているこれまで建ててこられたお住まいの雰囲気、照さんの写真からにじみ出る雰囲気、千恵さんのブログから伝わる空気感、これらすべてに何か親近感というか波長が合う感じがしました。
建物という物質的な側面よりも、住まう、暮らす、居心地という部分にしっかりとfocusをあてて大事にしていらっしゃる感じ、理想の暮らし、家での時間、それを叶える住まいを共に考え、作っていただけそうだと思えたところが一番大きかったかもしれません。加えて、音楽室のある家の写真から感じた、こんな家が世の中に存在するんだという驚き、まさにこんな家に住みたいんです、これが夢なんですというピタッと感が決め手となって中西さんにお願いしようと決めました。
私自身の話で恐縮ですが、自分がどんなお医者さんでありたいかということを考えた時に、病気を治すという発想よりかは、病気や体のお困りごとを抱えた一人の人間としての患者さんとともに歩んでいける、そんなお医者さんでありたいと思っています。どのような生き方、生き様を望んでおられ、どのように死にたいと望んでおられるのかを大事にしながらそれを叶えるためのサポートをしながらその人の人生や命に寄り添えたらと、そんな風に思っています。Mさん(奥さま)も看護師として同じような感覚で患者さんと接していて、一緒に患者さんをみながら不謹慎にもこの人と一緒に歩いていきたいと思ってしまったわけです。中西さんご夫妻の我々住まいを作りたいと願う者たちとの関わりあい方に、我々の医療者としてのあり方がすごく近いものであるように感じていて、その点にも我々はすごく救われました。
我々の数多の夢や希望を整理する作業においては、中西さんご夫妻と出会うまでも夫婦で話すことはありましたが、最初に書かせていただいた暮らしアンケートのフォーマットが非常に整理しやすく、我々自身の頭も整理することができました。とはいえ、大変多くの希望をお伝えすることになり、本当にそれらすべてが一つの形にまとまるのかという不安はありました。結果的に自分たちの夢と希望をすべて盛り込んでいただいた形で、本当に自分達では逆立ちしても思いつかないようなアイデアでそれを具現化してくくださり、そしてそれらは決して支離滅裂ではなくて、加えて長く安心して快適に住まえる性能、強度を確保していただきながら、まとめ上げて頂いたことは感動でしかありません。
そこにきて住まい方提案書がまたまた感動なのですよ。出来上がった図面を見ながらMさん(奥さま)と住まい方提案書を読んでいるときのニヤニヤとワクワクと言ったらそれはもう(笑)。建つ家の形や間取りだけでなく、そこで暮らす情景が思い浮かべられて、その情景がまさに自分たちの夢や希望と重なってニヤニヤが止まらないわけです。
図面を見るたび、徐々に出来上がっていく家の様子を見るたび、中西さんご夫妻とお話をするたび、嬉しく、幸せな気持ちになりました。そして完成した家を見て、何よりもそこで暮らし始めての日々のなかで幸せな気持ちになり、あぁこれが夢見てた住まい、暮らし、居心地なんだと満たされた気持ちになりました。住まいを作るということにこれほどの幸福、満足を感じ、そしてその住まいでの暮らしにここまでも幸福、充足感、居心地の良さを感じることができるとは思ってもみませんでした。
(ご本人の了解をいただいて一部を掲載させていただきました。)
お手紙の中に書いてくださった千恵のブログ「居心地のもとめ方」
きっかけになった「音楽室のある家#02」
「治る」プロセスに、場が持つ力
弟の家のご主人もお医者様ですが、医師の稲葉俊朗さんの著書に「治す」と「治る」というお話があります。日々、私たちは外から受け取る影響や情報があります。目まぐるしいスピードで変化していく社会、あふれる情報、それらはとても便利で楽しく感じることも多々ありますが、知らぬ間に、体も心も休むことのない状況になってはいないでしょうか。
そんな日常において、体が緩み、心もリラックスし、ほどかれていくような、開かれていくような感覚に戻るということが、家の役割の一つとしてあると思っています。私たちFORMAの使命は、「人々が、心と体を健康に保ち、より良い人生や仕事を楽しめる 居心地のいい家をデザインする」ことですが、稲葉さんのおっしゃる「治る」プロセスに、場が持つ力が影響を与えているという著書の中の一節に共感します。
”人の体を診るときに、「治す」という考え方と、「治る」という考え方がある。西洋医学は「治す」考えに比重を置いたものだ。治療者が「治す」発想であらゆる物事を考える。一方、生命が生きている以上、誰もが「自然治癒力」というものを持っており、この力によって体は勝手に「治る」。
芸術や文化は、こうした「治る」プロセスが起きやすい場や条件を整えていると私は考えている。どうしたら、人間がもともと持っている「自然治癒力」を引き出せるのか。その発端となるあらゆる営みは、人間を深い部分から癒す。
例えば、深い森にいると深呼吸したくなる、自然の中にいるとリフレッシュする、好きな人に会うと元気が出る。そういう生理的な身体感覚は「治る」プロセスを駆動するような、場そのものが持つ力が我々の体に影響を与えている。”(いのちを呼びさますもの|稲葉俊朗)
それぞれのお客さまにとって、家が治る場として機能するものであるように。そして、そこからさらに、何か生まれる、何か生み出される、家族の人生や暮らしの可能性が広がる場であるようにと思っています。
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