住まい方アドバイザー 中西千恵のブログ

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-2023.12.5-

生きる力のある暮らし

「豊かな暮らしです」そうおっしゃるのは、亀岡の山間地域に暮らすご家族です。

築70年の古民家の改修に10年前から関わらせていただいるのですが、目標にする全体像を持ちつつ、必要なところから時期をずらしながら改修し今回が第5期工事の計画中です。

打合せに訪れると、ご主人から「ここからの景色が最高なんです。」と、第4期工事が終わったキッチンに誘われました。キッチンの窓から見える里山の景色は、春や夏のいきいきした景色と違う落ち着いた静けさ、庭の向こうに田んぼ、その向こうには山があり、自然の景色だけが目に入ります。ご主人は、窓辺のカウンターで音楽を聴きながら、自分で淹れるコーヒーを飲みながら、本を読んだり書き物をされる時間がとてもいいとおっしゃいます。

山に囲まれた里山は市街地より気温が低く、もうすっかり毎日が薪ストーブ生活のようです。薪ストーブの前で、ボケ防止ですと言いながらクロスワードパズルをされていたおばあさんは、数年前まで薪割りをされていました。いつも私たちが訪れると元気に挨拶してくださるのですが、この日、お歳をお聞きしたらなんと92歳!

田んぼ、畑、椎茸作り、山仕事、薪割り、味噌や漬物作り、里山暮らしは年中することがある。その上、地域の活動や趣味も大いに楽しみ、夜は人が集まって飲んで食べて話す。

なんとまあ、ここに暮らす人たちの元気なこと。このエネルギーの源はなんなんでしょう。

平日、休日といった境目がなく、いつお休みするのかと思うのですが、いつも元気であきらかに熱量の違いを感じます。生きるための力を備えた日々の生活、土を触り米や野菜を作り、木を触り薪を作る。目に映る里山の景色、鳥の声を耳にし、野焼きの匂い、新鮮な食べもの、澄んだ空気、五感を鈍らせることのない生活は、人のエネルギーを上げるのでしょうね。

お土産にいただいた大きな大きな4キロもある白菜と、肉厚の椎茸はとても味が濃いのです。ギュッーとエネルギーが詰まったものをありがたくお鍋でいただきました。

生きる力にあふれる暮らし。さて、私たちはどう生きていきましょうか。