住まい方アドバイザー 中西千恵のブログ

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-2025.2.21-

自然と体は動く

糸島から帰ってきたら亀岡が雪国になっていて驚きました。実家にいた頃は、毎年必ず雪が降っていたし見慣れている雪のはずが、すっかり雪に包まれる景色がめずらしくなっていました。じっと窓から外を見ていると、実家のこたつに入りながら庭の雪を見ていたのが思い出され、子どもの頃にタイムスリップするような、自分の「冬の感覚」の中にいるような不思議な気持ちになりました。

冬の太陽の存在。

冬の陽射しが少しでもたくさん室内に入るように、自宅にいるときはバーチカルブラインド(縦型ブラインドで、角度の調整をすることで光や視線のコントロールができるもの)の向きを調整します。

朝、東からの太陽光が室内に入ると寒い朝が少し柔らかになり、熱で床がほんのり暖かくなります。日が短く寒い冬は、光も熱も心地よく暮らすためにうれしいものです。

もしブラインドの向きを調節できなかったら、太陽とちょうど向きがあっている時しか光と熱は室内に入らず、他の時間はせっかくの心地よさを逃してしまいます。

それじゃあ、いっそのこと向きとか関係なくバーチカルブラインドをフルオープンにしたらいいんじゃない?

うーん、、、それはそれで丸見えになると落ち着かず、やはり少しずつ太陽の動きに合わせて光と熱を調整するのが心地いいのです。

自然の世界では自由に動くことができない植物たちも、根っこは動かなくても太陽の動きに合わせて地上に出ている部分を動かしているのだろうと思います。生きるために、成長するために。

冬の寒い時期を自宅で過ごしながら、糸島で訪れた「お山の樂校」で、あいさん(共同代表の田嶋杏依子さん)にお山の樂校で大切にされていることやそこでの日々のお話をお聞きしてから、受け取った言葉だけでなく自分なりの理解をしたいと思っていました。

前回のブログ、糸島のオルタナティブスクール

お山の樂校で過ごす子どもたちは、太陽の動きにあわせて自分の心地のいいように身体を意識せずに動かせている。そして、ここは気持ちがいいなぁと心が動く。すると、他でも心地よい場所はある?どうしてここは心地がいい?心地よくする方法はある?頭(知識や情報)が、身体と心の後から追っかけていく。身体が動くのは無意識で、それを心で感じ、頭は最後なんだろう。

この逆は、頭を先に動かして、身体を後から動かす。そうなると、頭が動かないと、身体は動くことができなくなる。それは頭にどれだけたくさんの知識や情報があるかが重要で、それがなければ心地いいところへ動くことができなくなる。だから生きていくために、常に頭をフル回転させて知識や情報を取りにいかないといけなくなる。

身体に素直に、無意識に動くことの積み重ねの日々。考える頭が先ではない日々がある場。

成長して大人になっていくと、頭ではわかっているつもりでも、無意識に考え、思い、行動してしまうどうしようもないものに苦しめられている人も少なくないでしょう。自分の内側にある無意識は、それまでの常識や思い込みや社会のシステムかもしれないし、それが大きければ大きいほど捨てるのも脱ぐのも容易ではないかもしれません。

無意識に、生きやすい方へ、心地いい方へ、そしておもしろそうと心が動く方へ身体が自然と動く時間の積み重ね。子どもが育つ環境に、その時間を大人は確保してあげればそれでいい。他は後からついていく。

その経験の積み重ねは、自分が大好きになることにつながっていき、根っこが大好きでできているから、自分も自分以外のヒトやモノやコトとの関係性も豊かになっていく。お山の樂校は、その時間を暮らしとともに子どもたちと作っているのだろう。そんなふうに自分なりの理解をしました。

あいさんのお話をお聞きしながら、私は自分の子育てのことを思い返していました。初めての子育て、息子は全く思うようにならなくて、本を読んだり、お話を聞きに行ったり、どうするといいのだろうとたくさん思いました。

今、思い返せば、息子にしたら面白いと思うことに素直に動いていたのだろうと思います。目の前の子どもの内側ではどんなことがおこっているのだろう。それはどこにつながっていくのだろう。あいさんにお聞きしたお話を知っていれば、ハラハラ、モヤモヤせずに見守っていれただろうと思います。

子どものためと思っていたことは、はじめての子育てに正解を求めた自分のためだったのかもしれません。自分の安心のために思うようになって欲しいと思ったのかもしれませんが、息子は私の思うようには動いてくれませんでした。その当時は困ったなと思っていたことが、今思えば、大人の思うようにしたい気持ちに素直に従うことがなかったのが逆にありがたく感じられます。

子どもたちは、このいろんな色のどれも体験したい。大人は黒いものは避けたほうがいいと知っているかもしれない。

黒いものを選ばないように枠を決めてはいないだろうか。可能性を狭めていないだろうか。子どもだけでなく大人も、自分へも、心にとめておきたい。

毎日夕方5時55分から10分のあいさんのライブトークがあります。

3月7日(金)は、【一日お山体験 & 公開見学会】

子どもたちの選択肢の一つ、オルタナティブスクールに興味のある方は、「お山の樂校」のお話を聞いてみられてはどうでしょう。オンラインでもお話し会をされているようです。

前回のブログ 糸島のオルタナティブスクール