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-2024.8.4-
よきにはからえ。
ふと思い立った「みちくさリビング」。先月のことですが、3人の方が来てくださって楽しくお話しさせていただきました。
先月末に訪れた、川西の古書店books+kotobanoieさん。たまたまお話しした方に「みちくさリビング」のことをつぶやいたら、思い浮かぶイメージが近いことをされている方がいらっしゃるということで教えてもらいもらったのが、books+kotobanoieさんでした。
ご自宅を月に2回オープンにされて古書店をされているのですが、玄関を入ると奥さまと店主の加藤さんが迎えてくださいました。どうしてここへたどり着いたかをお話しすると、開口一番、
「また酔狂(すいきょう)なことを!なんでまたそんなことしようと思ったの?」(笑)
「ふと思い立って…」
そんなところから、加藤さんがどうして今のようにご自宅をオープンにして古書店をされているかにまつわるお話しに、テルさんも私も聞き入ってしまいました。
加藤さんが、これだけは間違いなく言えるんだよねとおっしゃった言葉です。
『今こうして古書店やってるのは建築のもってる力ですよ。最初からやろうと思ってなかったし、この自宅がなかったらやってなかった。』
加藤さんのご自宅は新築時あちこちの建築雑誌に載ったそうです。実は、ここに来てテルさんは、玄関入ってすぐに「あっ、見たことあるあの家だ」と思ったそうです。雑誌で見ていた建築物を思い出したようです。
「建築のもっている力」、加藤さんご自身が建築家やデザイナーの力を120%引き出すことができる方だからというのはもちろんあります。ですが、そんな加藤さんが想定もしていなかったことが起こっている。可能性が広がり思ってもみなかったことになっています。その理由となる言葉をお聞きできた気がします。
『よきにはからえ。それでもなんとか住みこなすことはできるだろう。』
かっこいいと思いました。ご自分への信頼があるからこそ言えることでしょう。
家は毎日暮らすところであり、大きな費用をかけると思うと、失敗したくないと思って当たり前でしょうし、わからないことや理解できないことについてはどうしても気持ちがひいてしまうことでしょう。
加藤さんは、建築家の矢部さんが図面と模型を持ってこられた時に、図面も読めるし模型もわかるけど、ここに暮らすということにリアリティを持てなかったそうです。それなら、理解できないことを理解できない者がどうこう言えないよね、と。
なんとか住みこなすことはできるだろう。
なんてかっこいい言葉でしょう。どんな家であっても、自分流に住みこなせればどこでも暮らせます。この自信はどこからくるのでしょうね。
家の事例は溢れるほどありますが、どれも他人の家であって自分の家ではありません。自分の居心地は自分でしかわからず、それを建築家やデザイナーに伝えるというのは、なかなかむずかしいかもしれません。
そもそも自分の居心地を自分で知るにはどうしたらいいでしょうね。家を考えるとき、事例を見るのも参考にはなるでしょうが、自分はどうしたら居心地よく暮らせるだろうと、自分の気持ちよさや幸せに意識を向けること、家族と向き合って話すことはとても大切でしょう。そして建築家やデザイナーとよく話すことではないかと思います。
そこにたっぷり時間を使えば、あとはスムーズです。もしかしたら、『よきにはからえ。それでもなんとか住みこなすことはできるだろう。』になるかもしれません(笑)
住みこなすことができる自信がもてれば、自分の知っている範囲でまとめようとしなくてもよくなります。そもそも、自分の知っている範囲でまとめるなら工務店さんや大工さんのような施工をする方に伝えればすみそうですね。
とても心地よいご自宅で、建築のもつ可能性を自分の想定内にされることのなかった加藤さんのお話をお聞きできたよき日でした。
加藤さん、奥さま、美味しいコーヒーをいただき、たくさんお話しを聞かせていただきありがとうございました。また伺います。
さて、月1みちくさリビング、やっていきましょうか。