category
-2024.2.9-
冬の桂離宮
はじめて冬の桂離宮を見学してきました。娘との話の流れで桂離宮のことに触れたら、まだ行ったことがないというのです。3月末には大学進学で家を出るので、それなら今のうちに行きたいという娘と、冬の桂離宮を見てみたいということもあって久しぶりの見学になりました。
春の桜や新緑、夏の涼しさの演出、秋は紅葉、冬でも雪がふれば風情のある景色だろうと想像しますが、そんなわかりやすい景色のないときだからこそ感じられることがありそうです。
寒さの演出というのがあるのかどうかわかりませんが、枯れた枝や落ち葉、冷たい風、木々の寒々しい姿。冬ならではの静けさや落ち着きが、風情を感じることにつながっているような気がします。
季節ごとの茶室、月見台、舟で訪れるための舟着、回遊式の庭園、敷石、市松模様の襖。自然のうつりかわりを楽しむための優雅なしつらえや、細やかで磨かれた感性のあらわれ。
一緒に行った娘は「目が浄化された感じ」と表現しました。美しいものを見た目という物理的なものの浄化、そして、いいものを見て感じることからの心の浄化がされたでしょうか。
春になればたくさんの方が訪れる場所ですが、観光客が少なく建物や庭園をゆっくりと堪能し、静かな散策を楽しむことができました。自然のうつり変わりがあるかぎり、いつ訪れてもその日毎の美しさがある桂離宮。意外に京都の方でも行ったことがないとお聞きすることがあります。非日常ですが、季節の移り変わりへの感受性、自然との調和、気配りや繊細さといった日本人のDNAを感じるかもしれませんね。