いつか合気道の道場を設計したい
建築家のブログ

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-2023.11.5-

気密性能 0.19㎝/㎡。数値は大切ですが、、、

先日は川西の住宅の気密検査でした。お施主さんも立ち会われたいとのことで、大工さんや監督さんも緊張気味でした。

最終的に、結果は0.19㎝/㎡。

かなり高い気密の性能値となりました。

立ちあわれたお施主さんも大喜びの様子でしたが、測定途中に窓が開いているというハプニングもあり(笑)、お茶目な大工さんの一面が垣間みれました。

気密については、設計段階で計画する建物に合わせて合理的な工法にまとめていますが、実際造るのは人の手になります。いくら設計がよくても実際の工事がきっちりできていないと性能は出ません。

幸い気密に対して真摯に取り組む施工者さんやメーカーさんの知り合いに恵まれていて、勘所を聞ける機会が多々あります。FORMAの監理の際には、それら具体的な方法を監督さんや職人さんに伝え、理解の上で工事を進めてもらっています。

施工を担当してもらっている工務店さんとは件数を重ねるごとに気密性能が良くなってきています。それは、現場ごとにそれにかかった日数、人手、材料や施工のしやすさやさらに良くなりそうな提案をしてもらう機会をつくりながら改善してきたこと。工務店さんの職人気質な職場の風土、監督さんの指示、サブの監督さんのこまごまとした気配り、大工さんの腕、設備業者さんとの目標の共有と連携、それらがうまくいっての結果だと思います。

「仏作って魂入れず」にならないように

断熱、気密の性能について設計者や施工者のみならず、最近はお客様も詳しい方が多いです。性能の数値が良いことを目標にするのはもちろんいいのですが、数値を追い求めることより先に大切なことがあると思っています。

何より、現場でそれに取り組む人の氣持ちが積み重なっての結果です。関わる職人さん達が担当範囲を一生懸命造っている、その氣持ちが家の「氣」をつくっているように思います。

「俺たちは沢山の家を建てるけどお施主さんにとっては一生に一回の家かもしれない、見えないところまで氣を配って、後に誰が見てもいい仕事がしてあるなという仕事を精一杯するのが職人や!」

以前、お聞きした大工さんの言葉ですが、職人さんはそうして家に精魂を入れたはるんやな。自分の仕事に命を懸けているかのような迫力にグッとくるものを感じたことがあります。仏師が仏を作って魂を入れることと同じやなと思いました。

「氣」というのは目に見えるものではありませんが、仏を作ることばかりに追い込まれた現場は、なぜかアクシデントが起こることがよくあるし、働く人たちの氣持ちいい現場からはよい氣が流れていることを感じます。

職人さんたちが大工さんの言葉に込められた思いで働ける環境の会社であり、現場をまとめ上げる監督さんがその空気感をつくってくれ、みんなで思いを共有できる現場からは、まちがいなく「氣」の良い家が出来あがります。気密の検査結果を喜びながらも、あらためて大切なことを思いました。