-2014.5.17-
「聴竹居」見学会
聴竹居とは
「ちょうちくきょ」と読みます。藤井厚二氏が昭和3年に大山崎に建てた5番目の実験住宅です。 藤井厚二氏は、実験住宅を建てるごとに改良を重ね、この住宅が集大成になっています。現在はボランティアの有志の方達主体で運営管理されています。昨年は3千人近くの見学者が訪れたということです。文化的な価値は大いにあると思うのですが、残念ながら DOCOMOMO(ドコモモ) に選定されていますが、文化遺産には登録されていません。
フォルマが感じたこと
光と新緑のコントラスト
木々の間の階段を上がり玄関。薄暗い玄関から客間に目を向けると窓越しにまぶしいくらいの緑の光。暗さに目がなれはじめた頃に窓の外の明るさはいっそう際立っていました。新緑の季節なので外の光は緑色で床の松材様が写りこんで感動しました。
暗いところから見る光
子供の頃、寺の境内でかくれんぼをして床下に潜り込んでいた時に裏山の竹林を見た時の印象がフラッシュバックしました。自分が闇の中に居るのとは対照的に外は神々しい光が風に揺れるに対しての強烈な体験でありました。心象風景の中の一つとしてのこの体験と共鳴し鳥肌が立ちました。
パッシブな建築計画
藤井氏は環境工学の先駆者で「聴竹居」には多くの実験の結果を盛り込み建てられました。今では珍しくないパッシブ(自然のエネルギーを生かした)な仕掛けが多く有ります。 中でも、クールチューブ(温度の安定している地中にパイプを通し、流れる空気がパイプ内で熱交換する事で暑い空気を冷やしたり又は暖めたりする事)による冷気の導入、温度差による小に縁側や室を配置しペリメーターゾーン(外部の熱負荷を受けやすい外周部分)としたプランニングは、現在の建築計画においても基礎となるものでした。 環境計画の手法だけでなく、この建物のデザインやしつらえ、気遣いもすごく細やかで行き届いているという印象を受けました。
建物のプロポーション
外部から見たプロポーションも、手前の紅葉とのスケール感や枝葉からちらりと見える屋根、連続窓からコーナーFIX (出隅が繋がったガラスで形成されている事)までのラインがなんとリュームにおいてもよく考えられた建築という印象です。サスティナブルの定義さえなかった昭和3年にこのような建築を創るという事に藤井氏は今のような世界を予測していたのだろうか。
見学を終えて
聴竹居の創建以来、大きな改修や修繕は行われていないということですが、内部には所々修繕の跡はあるものの痛んでいる部分も有りそうな雰囲気でした。是非とも保存に頑張っていただきアとして参加しなくてはと思いました。
気が付くと予定時間をオーバーしており名残惜しかったのですが大山崎を後にしました。 参加者にも好評で、次回があれば参加したいとの声も聞け、日を改めて食事をしながら話をする事になりました。
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聴竹居のホームページ
http://www.chochikukyo.com/
※見学の予約はホームページより可能です。