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-2017.5.25-
手がけ付鎌錠 の非常用解除方法検討
網戸や雨戸によく使う BEST社のNo248 手掛付鎌錠 。
建具から余計な出っ張りがないので引き込み戸で鍵が必要という場合はNo248を使います。
商品の注意書きにはこう書いてあります。
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「※鎌を起こしたままドアを閉めると、施錠状態になりますのでご注意ください。」
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これって注意のしようが無いというのが現実です。
お子様のいらっしゃるご家庭、大人だけのご家庭でも、
「あっ!やってしまった!」
今でこそ少なくなりましたが、車のキーロック閉じ込めのような残念感があります。
車はJAFを呼べば解除してもらえます。
家の場合は工務店や設計事務所と連絡が取れればいいですけれど、取れないこともありますよね。
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そもそも、外から開けられる鍵は無いの?という話もありますが網戸や雨戸にシリンダー付の鍵を付ける必要があるのか?という事です。
無理やり入ろうと思えば雨戸壊して、網戸を破って入ることは出来るので過剰とも思えますし、網戸を締める程度の外出に鍵を持って行くとも思えません。
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家のキーロックは起こりうる前提で考えた方がよさそうです。
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NO616のように表示錠タイプのものもありますが、外からコインで開けられますよ!と明言しているものを使うのも気が引けます。
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そこで、頼りになる建具屋さん(小林木工さん)に相談してみたところ。
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流石、建具と器具を熟知しているからこそのアイディアを提供していただきました。
鍵本体をいじることなく建具を少し工夫することによって解除が出来る方法がありました。
※防犯に関する事なので方法は明記しません。
これからはFORMAの標準ディテールとなります。
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この件で困られている、FORMAのクライアント様は是非ご一報ください。
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今回は何とか解除出来たので今後の為に小林木工さんに改造してもらいました。
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既製の建具の場合は出来上がったものを取り付けるだけなので、仕組みや金物のこのような事は知らなくても構いません。(いざとなるとなんでも調べるとわかる時代なので)
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ただ、建具のしくみや構造は昔から受け継がれたアイディアや工夫の上に成り立っていて、使用金物の種類や機構等も知の積み重ねの上に出来ているところに惹かれます。
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以前作った、スチール枠の内開きサッシを作ったのもそんなところに惹かれたのかもしれません。
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実際、この金物、持つとずっしりと重く頑丈にシンプルな機構で作られていてよく考えられていて、機能美さえ感じます。
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そんなよくできた部品を使いたいと思いますし、この部品が作られるまでの知を享受できる事に喜びも感じます。
部品についてここまで語ることは今まで少なかったですが、こんな思いが設計の際に自然と働いているのかもしれません。
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そして、部品を知ることで利点、問題点が浮き彫りとなり、今後の設計にもフィードバックが出来ます。
いわば、アイディアの源泉にもなりうるのではないと考えます。