陽と樹の家
-2024.7.22-
設計打合せ @陽と樹の家
仕上について相談中です。
金額の増減を見ながらひとつづつ納得のいくように進めていきます。
人によって気になるところは色々です、気になっているところは紐解いていくとその正体がつかめてきます。
其々の想いがわかったうえで選択する。 そんなことを積み重ねた結果自分達らしい家が出来上がって行きます。
打合せの後、FORMA内でもキッチン収納について更に検討した結果。
キッチンで見せたいもの隠したいもの
動線、空間のバランス等々
打合せの内容と異なる場合もありますが家電タワーの提案です。
さて次回も楽しみです。
-2024.7.1-
外皮性能計算 @陽と樹の家
外皮計算で求めるのはUA値です。
UA値とは建築の内部から壁(窓)、床、屋根(天井)を通り逃げる熱量を外皮全体で平均化した値です。
数値が小さいほど熱が逃げにくく、大きいほど逃げやすいと捉えてください。
長期優良住宅の認定申請を行う場合は以下の性能以上が求められます。
断熱性能 等級5【UA値0.6W/㎡K以下】かつ一次エネルギー消費等級6【BEI:0.8以下】 の性能とする必要があります。
2024年現在、住宅建築においては未だ長期優良住宅認定、フラット35省エネ以外では断熱性能、省エネルギー性能基準の適合義務はありません。
(性能を数値化して住宅設計に取り組んでいる所とそうでないところ玉石混合の状態です)
2025年4月からは適合義務化が予定されていますが
断熱等級4【UA値0.87W/㎡K以下】、省エネ等級4【BEI:1.0以下】 は 義務化と言ってもあまりに低レベル過ぎる。
世界のUA値と比較すると
6地域だとイタリア:0.4 米国:約0.42 スペイン:約0.46 韓国:約0.55
2.3.地域 ドイツ:0.4
6地域で日本の0.87と大きな開きがある事がわかります。
FORMAの性能設計の手順です。
先ずは建築地の環境把握
気象庁のデータと建築設計用気象データで確認します。
気象庁のデータは観測地点が限られていますがこちらはピンポイントでデータが抽出できるのでより地域の特性が把握しやすいです。
京都市は6地域に入りますが建築地は市内の北に位置し冬場は中心部と比べて気温が約1度低く、降水量も12-2月間で約20mm多い、風速も一年を通して0.3m/Sほど速い
地域区分は6地域ですが 5.5くらいのイメージです(私感)
続いてHEAT20の外皮水準地域補正ツールを使って計算して大まかな性能を予測を確認します。
6地域での断熱性能では等級5【0.6W/㎡K)
G1でも不適合となります。
煖房期最低温度が11.4度
6地域での断熱性能では等級6【0.46W/㎡K】
G1は適合となりましたがG2は不適合
暖房期最低温度が13度
G2レベル適合を目指した場合
6地域での断熱性能 等級6【0.42W/㎡K】で計算するとG2概ね適合となります。
今までの設計した家の性能的にはこのレベルにすればお施主さんは冬場でもエアコン一つで暖かい家と感じていただけます。
省エネ性能もこの断熱性能であればBEI:0.8以下とバランスすることが多いです。
FORMAでよく使うコストバランスのよい断熱仕様で「陽と樹の家」のUA値を計算してみました。
結果は【0.39W/㎡K】
屋根断熱の性能を高めているため同じ面積の建物でも屋根が多い建物の方がUA値が小さくなります。
陽と樹の家も下屋があるので有利側に働いたようです。
更により良くなるように建物燃費ナビでシミュレーションしながら仕様を決めていきます。
-2024.6.24-
構造設計 許容応力度計算 耐震等級3 @陽と樹の家
構造設計の進め方
プラン時におおまかな構造計画と直下壁をイメージしながら空間構成の整合性を取っています。
この時点で協業する構造設計者に耐震等級3以上の性能が出るか確認します。
といってもこの段階で実際に計算を進める訳ではなく構造設計者の概算で進めます。
この段階で建物のバランスや弱点が見えてくるのでその部分を補完する工法や手法を構造設計者とやり取りしながら基本設計を固めていきます。
基本設計が出来上がります。
配置図、平面図、立面図、断面図、仕様が確定した段階で許容応力度計算をして柱、梁、壁が地震力に対してどのような力がかかりどのような大きさが必要かを確認していきます。
その結果を基本設計とすり合わせを行いよりよくなるように実施設計を進めていいく事になります。
今回は建築環境と建物間口の関係で南面吹抜+スノコからの日射と空気の流れをつくるパッシブ設計としています。
構造的にはこの部分が水平構面の力伝達不足が予想されていたのでこの部分はコボットステンレスロッドにおいて力の伝え方を補います。
これは以前の事例においても使用した方法です。
そして耐力壁を一枚追加することで等級3がクリアできました。
もともと追加する場所は想定していたので大きな変更とはなりませんでした。
でもお施主さんはドキドキされたかもしれません。 (すいません)
実施設計を進めていきます。
大まかなところはほぼ出来上がってきていますが肝心の断熱、省エネ性能についての検証を進めていきます。
-2024.5.24-
概算予算の為、仕様検討 【陽と樹の家】
いつも悩ましい予算内に納めるための作業。
ここ数年の建築工事業界では工事費の高騰が問題になっています。
近々の見積もりを踏まえて予算計画をしていますが設計段階でコストアップにつながる要望がある場合は当初の想定と異なることからお施主さんとに相談しながら進めることになります。
風致地区の使用可能な素材からコストアップにつながるところとしては屋根の横葺き素材、外構植栽といったところ。
今回は性能を確保しつつ工種や手順を減らす事で工期短縮とコストダウンを計れないかという事を考えています。
検討事項としては
・外断熱を行い内部の壁を省く事
・内部仕上げ大工さんが行う仕上げを選ぶ(内装工事や塗装工事を省く)
・床下地を貼り仕上げ材を張るという二つの工程を下地=仕上げとなる素材選び
・天井貼る範囲を少なくする。構造を現わす仕上げとする
・住宅設備、工務店が掛け率交渉を既に行っているメーカーの商品を選定
等々
既にいくつかは概算見積を行いコストダウン効果を確認しています。
外断熱化、内部の壁省く方法はコストダウンにはならずコストアップになる項目となり見送り従来の工法に戻します。
そんなことをやりながら基本設計を進めているます。
一方で仮決めした仕様で概算見積もりを進めているので同時に対案の見積もりも進める予定です。
構造設計の方も既に相談を開始していて南側吹抜部分の水平剛性を高める方法は想定通りのコボットブレース採用の方向が決まりました。
開放感を得つつ剛性も確保する時に使います。
-2024.5.21-
陽と樹の家
鷹峯三山(鷹峯・鷲峯・天峯)を背に、京都盆地の北の端に位置するここの地域は、寒暖の差が大きく鮮やかに四季がうつろう場所でもあります。また、旧光悦村という歴史は、風致地区という規制になって景観、風景が今後も守られていきます。
新しい住まいの計画です。太陽の光や熱、風、雨水など、自然の恵みを最大限に活かし、ゆったり流れる時間、静かな落ち着いた暮らしを包む家は敷地内の樹々と一体化し、周辺の景色をつくり、地域の風景となっていく想定です。
-2024.5.17-
風致地区の協議 陽と樹の家
計画地は変形地で風致地区と山ろく型建造物修景地区にまたがる敷地です。
風致地区の規制には外観の素材、形態、色、緑地義務、建ぺい率低減、後退距離等が有ります。
今回は敷地が変形しており、隣地との高低差があることから擁壁が敷地内に突出して築造されている事も有りパッシブデザインと様々な与条件を満足するため規制ぎりぎりのラインを攻めた計画になっています。
風致課担当者に事前にヒアリングしてプランを固めたところ課題とは異なる部分を指摘されたりで一進一退でした。
協議の課題点は二つ
1.後退距離緩和について
2.道路面における2階外壁ライン後退の取り扱いについて
担当者から風致課の見解の定義を事細かに確認したりデザインやスケッチを描き風致課の意思決定がしやすくするように提供したり、アイデアと風致課の考えをすり合わせた結果良い案にたどり着きました。
ARCHICAD(アーキキャド)という世界で使われているBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)を使っているので計画段階からこのようにモデル化するので初期段階から形態などの共有がしやすいのです。
その代わり二次元CADに比べると入力作業は非常に増えるのですが・・・
計画段階から実施段階までデータを無駄にすることなく使える事、施工段階にも施工者に立体的な説明が可能なので採用しています。
個人事務所同士で協業する時もクラウドデータを其々で作業して一つの建築設計を行う事も可能ということにも将来性があると思います。
今回のお施主さんは3Dデータを可視化する技能をもっておられるようなのでこれからの打合せも面白いことになりそうで楽しみにしています。
今回は外観の骨格が決まったことにより基本設計を確定できることになりました。